溶液中におけるラベルフリーの解析手法は、天然状態の分子をダイレクトに調べるために用いられます。 この手法は生物学的に関連性があるデータを生成し、アーティファクトなプローブや標識を使うことなく分子間相互作用の理解を可能にします。 これは重要な利点と言えます。なぜなら標識は結合に重要な高次構造を壊し、アーティファクトの影響がデータに含まれ、対象の分子を不活性化または不安定化することさえあるためです。

マイクロカロリメトリーはパワフルで定評のある溶液中におけるラベルフリーの解析手法です。 マイクロカロリメーターを使うことで、放出または吸収した熱の変化を測定することによって、複合体の結合と解離を検出できます。 それによって得られる豊富な情報のデータにより、生物学的プロセスおよび分子間相互作用を促進する機序に関する知識が得られます。 ラベルフリーの技術は、生物学的研究、生物学的薬物および低分子創薬の探索と開発、免疫原性研究、ワクチン開発および品質管理など、幅広い応用分野で研究者たちにとって興味を引く手法です。

これらの生物学的プロセスは、多くの場合、等温滴定型カロリメトリー(ITC)示差走査型カロリメトリー(DSC)という2つの熱量測定手法を使って研究されています。

マイクロカロリメトリーは標識を必要とせず、アッセイの開発も最小限で済むため、簡便かつ迅速であり、不透明であったり、色が付いている溶液にも適しています。

  • 等温滴定型カロリメトリー(ITC)は解離定数(KD)、結合比(n)、エンタルピー変化(ΔH)およびエントロピー変化(ΔS)を1回の測定で定量化でき、結合のメカニズムの解明とともに、酵素反応速度の決定を可能にします。 これらのデータはターゲット活性や、ヒット化合物のバリデーション、およびリード化合物の最適化の評価に用いられます。
  • 示差走査型カロリメトリー(DSC)は熱安定性(Tm)を評価し、タンパク質が適切に折りたたまれているか、均一か、また熱的に安定しているかなどを評価します。 この重要な情報は、たとえば製造や製剤の最適化などに用いられます。